不動産の登記の名義、きちんと更新されていますか??
「実は自宅の土地建物の名義が先代のまま」というようなこと、無いでしょうか?
「登記簿上の持ち主がすでに死亡していて更新されていない」ということ自体がもちろん好ましくありませんし、令和6年(2024年)4月1日より相続登記が義務化されることに伴い、今後、不動産の名義の刷新や整理の風潮が更に高まっていくのではないかと考えています。
しかしながら、「先代の名義を更新する」という手続きは、一見簡単そうに見えてとても大変です。
- 数代前の相続が行われずに放置されていた
- 親の相続に際して親が管理していた土地の名義を確認したら数代前の人物だった
という方、まずは弁護士等専門家へのご相談をご検討ください。
目次
1.何故手続きが大変なのか
(1)先代の相続手続きを新しく行う必要がある
(2)相続人が増え続けている?
(3)相続手続きにあたっては相続人「全員」の意思表示が必要
2.ぜひ、岡島法律事務所にお任せください!
(1)専門家ならではの調査力
(2)”交渉”を行えるのは弁護士だけ
(3)調停・訴訟に移行しても安心
(4)司法書士との密な連携
3.”相続登記の義務化”とは?
(1)相続登記義務化の背景
(2)相続登記義務化に伴う重要ポイント
1.何故手続きが大変なのか
「先代の名義を更新する」という手続きがなぜ大変なのかというと、相続における仕組みが大きく関係します。
(1)先代の相続手続きを新しく行う必要がある
対象の不動産の名義が先代のままになっている場合、先代の相続手続きを新しく行わなければいけません。これは、当時実際に先代の相続が行われていたか否かはあまり問題ではありません。
実は、相続に時効は存在しません。ですから、数十年前に亡くなった方の相続を現時点で行うことも可能です。
(2)相続人が増え続けている?
実際に数十年前に亡くなった方の相続を行う場合、現時点で相続権をもつ相続人が誰かということを明らかにしなければなりません。
まず、相続権を持つ順番(法定相続順位)は以下の通りとなります。
※第2順位・第3順位の相続人は、上位の順位の相続人がいない場合に初めて相続権を持つことができます。
そして、先代の名義の更新を困難ならしめる原因ともいえるのが「数次相続」と「代襲相続」の存在です。
①数次相続
数次相続とは、ある人の相続開始後、その遺産分割が終了する前に、その相続人が死亡し相続が開始している状況を指します。例として以下のような状況を指します。
複数次元の相続が発生してしまっていることから数次相続と呼ばれています。
②代襲相続
一方、代襲相続とは、相続権を持つはずの相続人が相続開始時に既に死亡している場合、その直系卑属に相続権が移るというものです。
- 子が死亡している場合、その子(被相続人から見て孫)に相続権が移る。孫も死亡している場合、その子(被相続人からみて曾孫)がいれば、さらに相続権が移る。子の代襲相続は何代でも行われる。
- 兄弟姉妹が死亡している場合、その子(被相続人から見て甥姪)に相続権が移る。ただし、甥姪も死亡している場合、その子(被相続人から見て姪孫(てっそん))には相続権が移らず、代襲相続は1代限りである。
数次相続と代襲相続は、「本来の相続人が死亡しているため、その家族に相続権が引き継がれる」という点で似通っており、一般の方では識別がしにくいかもしれませんが、以下の違いがあります。
(被相続人Aの相続人としてBがいるという場合を例にします。)
- Aの死亡の方が早ければ数次相続、Bの死亡の方が早ければ代襲相続
- 数次相続の場合は、Bの法定相続人がAの相続人になる(つまり配偶者や兄弟姉妹に引き継がれる場合もある)
- 代襲相続の場合は、Bの直系卑属が相続権をもつ(つまりBに子どもがいるかどうかが重要)
いずれにしても、数次相続や代襲相続によって、本来の相続人の相続権が複数人に分散されていく可能性があります。特に数次相続は、もちろんやむを得ないケースもあるものの、先代の相続手続きが放置されていたことによって生じるものである可能性が高いでしょう。
発端となる被相続人が相当前に死亡している場合、数次相続や代襲相続によって関係する相続人がとんでもない人数になっている可能性があります。
法定相続人や法定相続分、代襲相続の仕組みについては、ぜひ下記リンク先のページも併せてご覧ください。
(3)相続手続きにあたっては相続人「全員」の意思表示が必要
相続手続きを行う上では、相続権を持つ相続人とは何らかのコンタクトを行わなければなりません。どれだけ数がいようと、相続権を持つ限り、その人物の意向を無視して手続きするということはできません。
しかし、この点も一般の方にとってかなり対応が難しい部分となるでしょう。
- コンタクトを取ろうにも、相続人の連絡先や住所などを調べることが容易ではない。
- 全ての相続人がきちんとコンタクトに反応するとは限らない。
- 大前提として、相続人の人数などを調査することも容易ではない。
特に2点目について、反応がない場合には調停や訴訟など法的手続きを取らざるを得ません。トータルで見ても、昔に亡くなった被相続人の名義変更は、かなりの手間と時間がかかるものなのです。
2.ぜひ、岡島法律事務所にお任せください!
このような相続人が大量にいる「大量相続人事件」は、弁護士にお任せすることで多くのメリットを得られます。
(1)専門家ならではの調査力
「相続人や相続財産の調査」という初期の段階の調査も、一般の方にとっては難しいものです。相続人の調査については専ら戸籍謄本類の取り寄せにより行いますが、一般の方が取り寄せるには関係者からの委任状が欲しかったり、また、相続人の人数が多ければ、複数の自治体に取り寄せを行わなければいけなかったりと非常に煩雑です。相続財産の調査についても同様に、委任状が必要なケースや、そもそも開示を拒むケースがあったりと、調査が難航することも珍しくありません。
この点、弁護士については、戸籍謄本類などの住民情報については職権で開示請求を行うことができます。また、相続財産の調査等についても、弁護士会を通じた照会などにより、一般の方の照会より遥かに広い範囲の照会を迅速に行うことができます。
(2)”交渉”を行えるのは弁護士だけ
相続人や相続財産の調査だけでしたら、司法書士や行政書士といった他士業の方でも行うことが可能ですが、相続事件において他の相続人との交渉が必要となった場合、原則として交渉代理業務を請け負えるのは弁護士のみです。
※法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)であれば、請求額が140万円以下の民事事件について交渉代理業務を行えますが、相続事件の請求額は高額となるものも多く、司法書士が担当できる範囲はかなり限られるといえます。
大量相続人事件の場合、相続人の中には突然降って沸いた話に対し適切に対応してくれなかったり、中には無反応だったりで、何らか交渉が必要になるケースがほとんどです。そのような場合、弁護士に依頼していると、そういった相続人との交渉業務もワンストップで請け負えます。
(3)調停・訴訟に移行しても安心
任意の交渉で折り合いがつかなかったり、結局無反応のままであったりする場合は、調停や訴訟など、法的手続きに頼らざるを得ません。例え無反応であったとしても、相続権を持つ相続人の意向を確認しないまま手続きを進めるということはできません。この場合においても、原則として代理人に就けるのは弁護士のみです。
(4)司法書士との密な連携
相続人の意向が確認でき登記の方針も固まったら、相続登記の手続きが必要となります。法務局への所有権移転登記は司法書士の専門的分野となりますが、当事務所は司法書士事務所と密な連携を取っており、迅速な登記手続きが可能です。一般の方では、登記手続きについても不慣れな方が多いかと思いますので、専門家にお任せいただければ安心です。
ご相談をご希望の方は、ぜひお気軽に当事務所までお問い合わせください!
弁護士費用につきましても、リーズナブルな料金をご提案いたします!
※ご相談につきましては、全て事前予約を承っております。予約無しで当事務所にお越しいただいた場合は、原則お断りさせていただいていますので、予めご了承ください。
3.”相続登記の義務化”とは?
冒頭で言及していますが、令和6年4月1日より相続登記が義務化されます。
相続登記とは、相続によって不動産の所有者が変更された場合に、その旨を法務局に届け出ることをいいます。普通に考えれば、持ち主が変わったのならそれはきちんと変更しないといけませんよね?
相続登記が具体的にどのように義務化されるかといいますと、
- 不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない
- 遺産分割協議の成立により不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならない
- (相続登記の関連ではありませんが)土地の所有者の氏名又は住所に変更があった場合、その日から2年以内に登記を申請しなければならない
という風になります。
※「遺産分割協議」とは、被相続人(亡くなった方)の遺産をどのように相続するか(分け合うか)を、相続人同士で話し合うことをいいます。民法は、相続人毎にどれだけの割合の相続権があるかを「法定相続分」として定めていますが、これはあくまで権利としての目安であり、相続人間の協議により割合を自由に決定できます。
(1)相続登記義務化の背景
相続登記が義務化される背景には、やはり相続登記をせずに放置された結果、所有者不明の不動産が散在しているということが挙げられます。
土地や建物の所有者が不明になってしまっていると、以下のような問題が発生します。
- 公共事業や民間事業で土地を利用したいと思っても、所有者が不明のままだと購入や交渉ができない。
- 所有者による土地の管理がなされていないため、隣地への悪影響が生じる可能性がある。(隣地を所有する不動産会社が、所有者不明の土地の管理がなされておらず、管理を依頼したいが、所有者が不明の為依頼もできないような事案が多発しています)
国土交通省において平成28年度に実施されている地籍調査によると、調査対象の地区上で、「登記簿上で所有者が不明となっている土地」は全体の20.1%を占めたそうです。それらについて所有者の追跡調査を行った結果、所有者不明の要因として「相続登記未了」が66.7%、「住所変更の未登記」が32.4%を占めたとのことです。
※参考までに、追跡調査を以てしても所在が不明となった土地は最終的に0.41%という結果が出ています。
地籍調査について詳しくご覧になりたい方は、以下リンクをクリックしてください。
『https://www.mlit.go.jp/common/001201304.pdf「国土交通省 所有者不明土地の実態把握の状況について」』
(2)相続登記義務化に伴う重要ポイント
相続登記の義務化に伴い、重要なポイントが2点あります。
- その1:遡及効が認められる
遡及効とは、法律の効果などが、成立時点より以前のものに遡って効力を発揮することをいいます。つまり、相続登記は確かに令和6年4月1日より義務化されますが、その時点で、それ以前に発生している相続も義務化の対象となるということです。ただし、3年の起算点は早くとも施行日である令和6年4月1日からなので、すぐに大きな問題となるということはありません。
- その2:罰則がある
現状のように所有者不明の土地が散在するようになった一つの要因は、相続登記が義務化されていなかった点及び強制力がなかった点であると考えられています。そのため、義務化に伴い、新たに罰則も設けられました。
- 相続登記が行われていないものについては10万円以下の過料
- 所有者情報変更登記等が行われていないものについては5万円以下の過料
以上のことから、決して所有者の事情に拠らずとも、所有者情報の刷新や整理は、今後更に求められるべきこととなっていくと考えられるのです。