Q:複数の遺言の効力関係は?

Q:故人の遺品を整理していたら、複数の遺言が見つかりました。これらの効力関係はどのようになるのでしょうか。

A:遺言の様式が条件を満たしていれば、日付の新しい遺言が優先されますが、状況次第では古い日付の遺言も有効である場合があります。

遺言は何度でも作成することができます。その場合、原則として日付が新しい遺言書が優先されます。

例えば、古い日付で「不動産1をAに遺贈する」という文言の遺言があり、一方で新しい日付で「不動産1をBを遺贈する」という文言の遺言があった場合には、新しい日付である「不動産1をBに遺贈するという遺言が優先されます。

これを原則としつつ、以下の点について注意しましょう。

1.遺言の種類の優劣はない

遺言の種類に関係なく、日付が新しい遺言が優先します。なぜなら、例えば、公正証書遺言の内容を、自筆証書遺言を作成して変更することも可能だからです。

2.形式的条件を満たしていない遺言は無効

例え日付が新しかったとしても、遺言ごとの形式上の要件を満たしていない場合はその遺言は無効となります。
例えば、日付の古い遺言Aが要件を満たしていて、日付の新しい遺言Bが要件を満たしていない場合は、遺言Bは無効となり、遺言Aのみが有効となります。

3.新しい遺言で言及がない部分は、古い遺言であっても有効

日付の新しい遺言に書かれている内容によって及ぼされる効果のみが上書きされます。言い換えると、日付の新しい遺言で言及がない内容については、日付の古い遺言であっても有効です。

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