Q:ペットに遺産を渡すことは可能?

Q:ペットに遺産を渡すことはできますか?

A:ペットは法律上「モノ」として扱われるため、遺産を継ぐ対象とすることはできません。

高齢の方でペットを飼っている方の場合、自分が旅立った後のペットの行く末が心配だと感じることも多いでしょう。中には、「今いる家はペットのものだ!」と、不動産をペットに送るような遺言を書けば…と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、法律上ペットは「モノ」として扱われます。そして、民法において、相続や遺贈を受けることができるのは「相続人」、つまりは「人」に限られています。よって、ペットに遺産を相続させるということはできません。

では、遺されたペットを護る手立ては何もないのかというと、そうではありません。

・負担付遺贈

負担付遺贈とは、遺言上の遺産の受取人に対し、遺産を贈る代わりに、一定の債務(義務)を負担させることです。例えば、「〇〇万円やるから、代わりに妻の世話をしてやってくれ」というようなものです。

これを利用し、特定の信頼できる人に対し、「遺産を渡す代わりにペットの面倒を見てもらう」という負担付遺贈を残すという方法があります。

なお、これと同時に、遺言上で遺言執行者を指定しておくとよいでしょう。負担付遺贈がある遺言において、遺言執行者が選任されると、遺言執行者に監督責任が生じるので、ペットの面倒をきちんと見ているか、遺言執行者が確認してくれます。もし、きちんと条件が守られていなければ、遺言執行者から受遺者(遺贈を受けた人)に対しペットの面倒をきちんと見るように請求ができますし、それでも守られない場合は、家庭裁判所に遺贈の撤回を申立てることも可能です。

ただし、この方法の場合、受遺者は遺贈を放棄する、つまり、「財産を受け取らない代わりにペットの面倒を見ない」という選択も可能です。遺言は契約とは違い、受け取る側の事前の同意を必要としない単独行為ですので、遺言自体が無効になるということはありませんが、「相手方にも放棄する権利がある」ということを覚えておきましょう。確実に面倒を見てほしいということであれば、生前に対象の方の承諾をきちんと受けておくことが重要です。

Copyright(c) 浜松の弁護士による 遺言・遺産相続相談所 All Rights Reserved.