Q:遺言を発見したら?
Q:故人の遺品を整理していたら、遺言を発見しました。遺言を発見したら、どうしたらよいのでしょうか?
A:まず、遺言の種類を確認しましょう。ただし、封筒など入っていて、封をしてある状態の場合は、絶対に開封してはいけません。
遺言とは、故人の財産についてどのように分けるか、特定の財産について誰に渡すかなど、相続財産に対する故人の遺志が書かれたものです。
遺言には法律上様々な種類がありますが、多く活用されているのは公正証書遺言と自筆証書遺言です。遺言の種類によって、手続きの内容が変わりますのでご注意ください。
1.公正証書遺言だった場合には
・その公正証書が正本か謄本かを確認する
・正本が無い場合には、公証役場で再発行手続きを依頼する
・遺言執行者の指定がある場合には、その方(法人の可能性もあります)に連絡をする
2.自筆証書遺言だった場合には
・家庭裁判所に遺言の検認を依頼する
・検認手続きが済むまで、絶対に開封しない
※「公正証書遺言」とは
公証役場の公証人により作成された遺言です。遺言が封筒などに入っておらず、文面に公証人の名前が入っている場合には、公正証書遺言と考えてよいでしょう。原本は公証役場で保管されますので、遺言内容の改変等の心配がありません。
作成時には、遺言者に対して正本と謄本が渡されます。正本は「原本と同じ効力を持つが、関係者の署名押印が省略されたもの」、謄本は「原本のコピー」です。遺言の内容に沿って金融機関などで手続きをするには、正本が必要です。
これらは、公証役場にて再発行が可能ですが、遺言者本人が存命中の場合は、遺言者しか再発行の請求ができませんのでご注意ください。
※「遺言執行者」とは
遺言の内容の実現に関わる手続きについて相続人を代表して行う者として、遺言執行者が指定されている場合があります。指定がなされている場合には、その方に連絡しましょう。なお、遺言執行者は、相続人が指定されている場合の他、弁護士などの専門家や金融機関(法人)が指定されている場合もあります。
※「自筆証書遺言」とは
遺言者本人によって作成された遺言です。基本的には遺言者の「自筆」で作成されますが、平成31年1月13日施行の改正法より、相続財産などを記す財産目録については、パソコン・ワープロ等による作成・代筆・不動産の登記事項証明書・通帳の写しなどを添付することが認められています。
※「家庭裁判所の検認」とは
検認とは、家庭裁判所で遺言書の内容や状態などを確認してもらう手続きです。自筆証書遺言については、家庭裁判所で検認を受けないと相続手続きなどができません。なお、封筒などに入っている自筆証書遺言を検認前に開封してしまうと、過料の対象になってしまうので、開封は勝手にしないように注意してください。
自筆証書遺言は、原則遺言者の手で保管をしなければなりませんが、令和2年7月10日施行の改正法より、「自筆証書遺言保管制度」といって、自筆証書遺言を法務局が保管してくれる制度が利用できるようになりました。この制度によって法務局で保管された自筆証書遺言については、検認の手続きは必要ありません。
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